|
市販の外傷薬・マキロン系の扱いに注意!!
記録作家 豊田ひろし
内容 かぶれによるかゆみ抑制のための使用で,皮膚がただれて潰瘍化したこと
外傷救急薬のマキロンは,普段から利用しているので,気軽にかぶれのかゆみ止めに使っていたら,かぶれの後が潰瘍化し,皮膚科の医師に利用を止めるように注意された。今回は,マキロン系の薬品によるこの副作用の詳細な報告である。
家庭で使われてる外傷救急薬にマキロン(山之内製薬)とかケンユイシロチン(健栄製薬)その他多くがある。
成分は100ml中,
塩化ベンゼトニュウム 10mg
塩酸ジブカイン 100mg
塩酸ナファゾリン 100mg
マレイン酸クロルフェニラミン 200mg
である。
マキロンの使用上の注意では,山之内製薬の説明を参照のこと。
商品の説明文として,
「マキロン 75ml」は、すり傷、きり傷、虫さされ、やけどなどにお使いいただく殺菌消毒剤です。1本で以下の4つの効果があります。1.雑菌を消毒、2.痛みをやわらげる、3.出血を抑える、4.かゆみをとる、です。
傷の場所に応じて「スプレー式」「洗浄式」の2通りの使い方ができ、傷に直接触れずに処置ができます。家庭の常備キズ薬として、ご利用ください。
使用上の注意 に,
次の人は使用前に医師又は薬剤師に相談すること
a.医師の治療を受けている人
b.本人又は家族がアレルギー体質の人
c.薬や化粧品等によりアレルギー症状を起こしたことがある人
d.患部が広範囲の人
e.深い傷やひどいやけどの人
とある。
茶色の太字部分は,私の場合にあてはまる。
|
髭剃り後の顔のかぶれに使用したとき
2003年の10月下旬のことである。27日の昼間,口から下のあごの周りに発疹のような赤みができてきてかゆみを感じた。それほど気にしないでいて,翌日の28日には近くの老人クラブに行って囲碁を楽しんできた。
その日の夜は,普通に入浴して出てくると,かぶれが少し増えてきた。就寝後にかゆみがひどくなったので,なかなか寝られず,夜中に冷蔵庫からアイスノン(冷凍庫で固めた氷枕)を取り出してきて,あごの下に当てて寝た。途中で,アイスノンが温まってきたので,新しいものに取り替えた。翌29日の午前10時ごろに近くの皮膚科に行き,
「食事は,魚とか特別なものは食べていなかったので,食事の影響ではないと思いますが。」
と説明すると,
「これは,何かにかぶれたのだと思います。何か外からの影響でしょう。この薬ですぐ治りますよ。」
といわれた。うるしや銀杏の実の汁などでかぶれることもあるが,そのような場所には行っていなかったので,原因はよく分からなかった。
院外処方だったので,その日近くの薬局に行くと,すぐに,一本のチュウブ入りのリドメックスコーワ軟膏(全5mg)を用意してくれた。
参考: リドメックスコーワ軟膏 の副作用について
総症例8896例中31例(0.35%)報告され、その主なものは刺激感0.17%、毛のう炎・せつ0.08%、そう痒感(傷のかゆみ)0.07%、皮疹の増悪0.07%、カンジダ症0.01%などであった。一般臨床検査値には一定の変動は認められなかった。(承認時〜1989年9月の再審査結果)
重大な副作用: 眼瞼皮膚への使用に際しては、眼圧亢進、緑内障、白内障を起こすことがあるので注意すること。大量又は長期にわたる広範囲の使用、密封法(ODT)により、緑内障、白内障等があらわれることがある。
ほとんど,安全な薬と考えてよいだろう。 |
しかし,就寝後は,薬をつけたのにかぶれのかゆみが激しくなり,とても我慢できない。昨日と違って,軟膏を塗っていたものだから,アイスノンがべたつくのをさけて,ガーゼにマキロンを噴霧して,かぶれの上から押さえていた。はじめは,かゆみがとれて気持ちよかったので,かゆみがひどくなると同じことを繰り返した。そのうち,かぶれが広がって,また,痒くなった。ガーゼでかぶれの上から押し付けると,透明なリンパ液が黄色くなっている。消毒しなければと,また,ガーゼにマキロンをつけて,かぶれ痕を軽く押さえつけてリンパ液しみ込ませていたら,かゆみはいくらか和らいだが,ガーゼを取ると,今度は,リンパ液が,とめどなく滲み出してくる。仕方なく,その夜は,ガーゼをあごに当てて,その上からマスクをして,ガーゼを4枚取り替え,翌日(木曜日)に備えた。
翌日の朝,皮膚科の診察日を見たらば,昨日行った医者は定休日である。とても,このまま,翌日まで待っていられる状態ではない。インターネットで調べたら,公立昭和病院の皮膚科が診察日になっていた。この病院は,予約制ではないので,受付時間をきいて,午前中の診察に間に合った。皮膚科のカルテがないかと思っていたら,1996年の7月(18日から25日まで入院)に耳鼻科で鼻たけの手術をしたときに,顔が風船のように腫れて,そのときに診察してもらったカルテが残っていた
初診担当は宇野裕和医師である。カーゼをはずして傷口を見ていていろいろ問診してくれていたが,隣の部屋の担当医永田茂樹医師と相談して二人で傷口を見てくれた。永田医師は
「マキロンを使いませんでしたか。」
と聞いた。
傷口に,昨夜,マキロンをつけていたことを話すと,一枚のスライドを取り出してきて見せてくれた。口の下からあごにかけてのかぶれと腫れがそっくり同じ他の患者の写真であった。,
「髭剃り痕の傷があると,そこがかぶれて,毛根の中にばい菌が繁殖して,マキロンが,その傷口をさらに広げるためで,簡単には直らずに,かなり,ひどくなる事もあります。」
と,丁寧に説明してくれた。すぐに,近くの先輩の医師に相談した医師も立派だし,その相談に,直ちに応じてくれた医師も立派で,さすがに公立病院である。このような,研究室のような協力体制の取れている病院のまねは,診察医が一人だけの開業医では無理だし,さらに,一週間のうち一日午後だけ診察というような小さな総合病院にはとてもできない体制である。
私自身にも,反省すべきことがある。それは,使用している電気カミソリが切れ味が良すぎて,時々深剃りをして皮膚まで削り取ることがあり,その後にかさぶたができた。切れ味がよいことにかまけて,切り落とした髭がカミソリの内部にかなりたまるまで掃除をしなかったのである。一週間に一回程度の掃除はしても,刃の部分の殺菌はしたことがない。汗をかいたときの髭などには,おそらく,ばい菌が繁殖し,カミソリの中でかなり増殖していたことだろう。そのばい菌が,髭剃りのときに,毛根に入り,かぶれを引き起こしたと考えてよい。 診察後に,
リンデロン(0.5m) 一日 3回 食後 2錠ずつ
炎症やアレルギーを抑えるステロイド薬。
ムコスタ 一日 3回 食後 1錠ずつ
胃を保護する薬
を5日分院外処方してくれた。さらに,リドメックスコーワ軟膏を一本処方してくれて,これは,前の医院でもらったものがなくなったら付けるよう指示された。
参考 リンデロンは一般名ベタメタゾンとよばれるもので,副作用のかなり強い薬で,担当医の指示が必要である。
リンデロン錠について詳しくは,ここをクリックしてから薬名を検索して調べることができます。 |
病院からの帰り道,東村山駅の近くの薬局でガーゼ一袋と消毒済みのカット綿(一袋50枚)二袋を買い求め,帰宅後,家の近の薬局に処方箋を持っていく行くと,
「今,店に置いていないので取り寄せになります」
という。
何時頃かという答えがなく,その日は入らないかのような口ぶりだったので,今晩,また,かゆみがひどくて寝られないのではたまらないと思い,マスクをはずして,かぶれの状態をみせた。
「医者には,今日から服用するように言われているので,すぐに取り寄せてもらいたいのですが。」
というと,親切にも,
「夕方までに取り寄せましたら,電話でお自宅に連絡します。」
といってくれた。
何しろ,その日は,大変な夜になった。あごの下からは,黄色い膿を含んだリンパ液が,どんどんにじみ出てくる。とてつもないかゆみである。リドメックスコーワ軟膏を塗ってもかゆみはとまらない。カット綿で傷口を軽く押し付けると,膿が出た後は,少し楽になる。その後,ガーゼをしてマスクでとめて,上から,アイスノンを手で支えながら冷やす。この操作をあくる朝まで繰り返した。使用したカット綿は40数枚,膿にしっとりと濡れたガーゼを取り替えること6枚であった。
翌朝になって,滴るようにリンパ液がにじみ出てくるのがやっと止まった。昨日の午後に,2回飲んだ薬が効いてきたためである。ガーゼをマスクで抑えなくてよくなってきた。
昭和病院に行った日(木)から三日後の土曜日には,かぶれと腫れがかなり治まってきた。しかし,やはり,リドメックスコーワ軟膏を塗ってもかゆみはとれなかつた。土曜日の夜も,就寝後,かゆみ止めのアイスノンの取替えを続けたが,皮膚が乾燥して元の薄皮がはげてきた。冷やしたために,薬が効いてきたのかもしれないが,ものすごいかゆみだ。どうしようもないので,常備薬のメンソレータムを薄く塗ったら,皮膚のかさかさがとれて,かゆみが治まってきた。
夜中に,二度ほどメンソレータムを塗ったおかげで,かゆみが軽くなり,午前2時ごろには就寝できた。昨日と比べて,カット綿やガーゼの使用がなくなっただけ楽であった。
日曜日の夜は,前日同様にリドメックスコーワ軟膏を塗ってもかゆみはとれなかつたので,メンソレータムを薄く塗って寝たらかゆみがとれよく眠れた。
メンソレータムは,あまり厚く塗らないほうがよい。厚く塗ると,傷口が空気に触れないために,細菌が繁殖しぐじゅぐじゅして直りが遅くなるからである。
翌日の月曜日(11月3日)は,腫れも大分ひいて皮膚の薄いかさぶたも剥げ落ちた。今日は文化の日だが,どこにも出かけられず,ホームページを作りながら一日を過ごした。就寝後は,2,3度起きて,薄くメンソレータムを患部に塗る程度で比較的よく眠れた。
今日は,3連休の休み明けで,病院も込むことと予想しながら,昭和病院にいき,診察室前で待つこと約2時間で宇野医師に診察してもらった。
「大分,良くなってきましたね。リンデロンは,急に中止すると,副作用が出てくるので,あと,三日間,一日3回で,一回の服用量を一個ずつにして飲んでみましょう。」
「先生,リドメックスコーワ軟膏は少し強すぎて痕が痒くなるので,もう少し弱いものはありませんか。」
「それでは,別のもの(ロコイド軟膏)付けてみてください。」
この日は,
リンデロン(0.5m) 一日 3回 食後 1錠ずつ
ムコスタ 一日 3回 食後 1錠ずつ
ロコイド軟膏(全5g,0.1%)
1本
を処方して貰った。次回の診察は,11/10(月)となった。
参考 リンデロンは,強力なステロイド系の薬で,左右の腎臓の上にある副腎から出される副腎皮質ホルモン(免疫力を調整する)の分泌を補充する働きを持っているが,多量に服用すると,本来の副腎の分泌作用を弱めてしまい。急に服用を止めると,副腎の働きが低下しているために,免疫力が低下して,感染症にかかりやすくなる。このため,服用量を徐々に減らして,副腎の働きを元に戻していくことが必要という。
このときのかぶれとリンデロンで治療した傷口の変化を写真に撮影しておいたので,関心のある方はご覧ください。
参考
昨年,前立腺がんの治療に用いるリュープリン注射の副作用で腹部の注射跡が腫れたときにも,絆創膏痕のかぶれが痒かったために,かゆみ止めにマキロンをつけたことがあり,今回同様に,広範囲に潰瘍を生じたことがあった。このときの,傷跡をヘルペスと誤診されたこともあった。
|