新山の手病院における生活習慣病指導管理料の扱い

                                                   豊田 ひろし(記録作家)

 生活習慣病指導管理料とは,老人以外の慢性疾患指導のための従来の「運動療法指導管理料」が,名前を変えその内容を新しくしたものです。
 つまり,
高脂血症・高血圧症・糖尿病の3つの疾患で,指導管理料,検査・投薬注射の費用をすべて包括したものです。

 「生活習慣病指導管理料」については,月一回以上の適切な指導と治療管理が行われなければならず,また,3ヶ月に一回以上の「療養計画書」を発行し,交付した計画書の一部を診療録に添付しなければなりません。
療養計画書のひな形には主治医と患者のサインと印鑑が必要です。

 この制度に対しては,多くの医師が反対してきました。高価な検査,投薬などを行わないときは病院側が有利になりますが,高額の検査や投薬などが必要な場合には病院側の負担が多くなるために,高価な新薬などは使われなくなるからです。

 例えば,「外来200床以下・院外処方・基本的には月一回診療」の場合に,通常の診療費が月一回293点,月2回合計で575点の場合,「生活習慣病指導管理料」を適用すると,1050〜1200点になります。高血圧患者を例に取ると3割負担で879円から3714円になり,4.2倍の負担になります。同じ高血圧て受診する患者が,医療機関の意思によって医療費の差が大きすぎるので,一部の良心的な医院では「生活習慣病指導管理料」を適用していません。病院の利益優先の算定も可能だからです。

(上記内容は,玖珂中央病院 吉岡春紀先生のホームページ
  生活習慣病指導管理料について
を参考にさせてもらいました。)


 新山の手病院では,この制度に対して反対だった医師もいましたが,四月からの法案の実施とともに,早速,今年の四月から「生活習慣病指導管理料」を適用する患者を増やしました。私の妻もその一人でした。

 妻は,高血圧患者として,月に一回診察に通院しており,普段の血圧は,ほとんど上が130台で下が80台が多く,稀に上が160程度で下が90台になることもありましたが,家庭で毎日測定しているときには,120台〜70台のことも多かったのです。
 今年の3月までは,初診料\1160,往診・指導料\870,理学療法料・他\960でした。この理学療法料・他というのは何のことかよくわからない費用ですが,必ず徴収されています。血圧を測定するための費用なのでしょうか。合計\2990で,支払いは3割負担で\900となっていました。

 四月の診察のときに,妻は突然担当医の方から「生活習慣病指導管理料」の算定を受けるように指示され,食事や普段の生活の指導をうけました。その後の診察は,四月以前と変わりなく,血圧を測定して薬の処方箋をもらうだけの数分間の診察です。もちろん,採血,検査,レントゲン写真撮影などは一切ありません。変わったことといえば,医療費が異常に高くなったことだけでした。

 四月から六月までの毎月の医療費は,初診料\700,往診・指導料\11000で,理学療法料・他は無料となっていました。合計は\11700で,支払いは3割負担の\3510でした。三月までの支払いの約4倍になっていました。
 
 そこで,会計の方に電話連絡して,
「なぜ医療費が高くなったのですか。どういう患者を対象に選んだのですか。」
と聞くと,
「生活習慣病指導管理料」による徴収で,数ヵ月後に老人医療費(自己負担1割)になる方を対象にしているという返事でした。妻は七月から老人医療費(まる福)の対象になる予定でした。病気の内容ではなくて,まもなく老人医療費に切り替わる患者を対象にしているというのが,何だか不自然です。四月からでなく,七月から「生活習慣病指導管理料」の対象者にすれば,妻の場合一割負担で\1170となるはずですから,患者の負担が少なくて済むはずです。どうも,患者のことを考えた「生活習慣病指導管理料」の適用ではなさそうです。まもなく老人医療費に切り替わる患者を対象にしているという根拠が全く分かりませんでした。ただし,七月までに緊急に病院の売り上げを増やさなければならない事情があり,七月までは待てなかったというのならば納得できます。
  
 今年の3月までの妻の保険合計は\2990でしたから,四月から七月までの毎月の保険合計が\11700になると,一カ月の差額は\8710となり,四月から七月までの合計はその三倍で\26130となります。その間,適用患者に心電図検査,採血,レントゲン撮影などを行うと,この差額では到底間に合いません。しかし,このような各種の検査をしなければ,その差額は,まるまる病院の利益になります。かりに,100人の患者に妻と同じような扱いをしたとすると,その利益は\2,613,000となります。しかし,たまたま,妻の場合は検査などがなかっただけで,他の多くの患者に対しては何らかの検査をしていたのかもしれません。
 このことは,病院の会計を監査して,四月以降の「生活習慣病指導管理料」扱いにした患者をすべて抽出し,その中から,実際に各種の検査に要した費用を個人ごとに明らかにすれば分かることです。うちの病院は,「生活習慣病指導管理料」の扱いを公正に行っていますというような口頭による説明を何回繰り返しても何の意味もありません。すべての説明は正確なデータ(証拠)の上に立ったものでなければ信用できないからです。

 妻は,七月の通院の際に,循環器の担当医に,もう三ヶ月を過ぎたので,「生活習慣病指導管理料」対象者を辞めたいと申し出ました。担当医の話では厚生労働省の指導によって,患者が勝手に止めたいといっても止められないと説明されたというのです(医師が同意すればよいということでしょうか)。おかしな制度ができたものです。契約期間を三ヶ月と決めてサインと捺印をしたものが,三ヶ月を過ぎてもそのまま契約を続けなければならないというのは何だか変です。担当医からは,延々と40分ほどのいろいろなお話をうかがってきました。妻の後に順番を待っていた患者さんはその間待たされてしまいました。しかし,七月の診療費請求書には,「生活習慣病指導管理料」の扱いはなく,初・再診料\1220,往診・指導料\870,理学療法料・他\840で,合計\2930,支払いは\290でした。また,七月の診察では,「生活習慣病指導管理料」の扱い(四月から六月)のときには全くされなかった心電図,血液検査,レントゲン検査をすることが決まりました。もちろん,これは,老人医療費扱いになるはずです。

 「生活習慣病指導管理料」の扱いは,病院によってさまざまなようです。正しい適用を促すためにも,行政当局は,「生活習慣病指導管理料」の取り扱いを正しく適用しているのかどうかを調べるために,すべての病院について四月以降の厳しい会計監査をする必要があります。


上記文章は,首相官邸の厚生労働大臣宛に送付してあり,下記返事を貰っております。 
                                   平成 14/07/23 (火) 9:20

 小泉総理大臣あてにメールをお送りいただきありがとうございました。いただいたご意見等は、今後の政策立案や執務上の参考とさせていただきます。
 皆様から非常にたくさんのメールをいただいておりますが、内閣官房の職員がご意見等を整理し、総理大臣に報告します。あわせて厚生労働省へも送付します。
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                   内閣官房  官邸メール担当